良い子のみなさんは絶対に真似しないで下さい。着物の丸洗い、実践編

さて、準備が整ったところで、たらいにお湯を張ります。
お風呂くらいの温度で良いでしょう。
部分洗い用に洗剤を別にしておいて、たらいの中に洗剤もいれてよく泡立てます。洗顔じゃないけれど、泡立てるのは結構重要。
IMG_5533.jpg

着物を浸けます。
IMG_5534.jpg
わたしは染織家なので糸や羊毛を洗ったり水に浸けたりするのは平気ですが、製品となるとちょっとドキドキします。ウールはお湯の中でゴシゴシギューギューやらなければそんな簡単には縮まないので、そちらの心配はありませんが、この生地が織り上げてからどれだけ伸ばしてあるか、そっちが気になります。
ま、ダメモトだからね。ダメになったらお母さんゴメンね。そもそも汚れたままで置いてあるのがイカンのよ。
この着物は水に浸けても染料が溶け出すことがなくて良かった。八掛けもちゃんと染まっているようです。

この時に液の色がどば〜と変わるほど染料が溶けるようなら液の温度を下げて、その後の作業を手早くしないといけません。溶けた染料が全体を染めてしまってダメになる可能性が高い。だいたいお湯に浸けて染料が溶けるような着物はロクなもんじゃありません。

IMG_5535.jpg

汚れのところには洗剤の原液をブラシにつけてポンポンと叩きます。ゴシゴシしないように。水洗いだから裏にタオルを置く必要はありません。ポンポンして汚れは水に溶かしてしまいます。


IMG_5536.jpg
何をこぼしたのかなぁ?コーヒーかしら?裏地にまで汚れが染みてます。ついでだからポンポンしてみます。

IMG_5537.jpg
ゴシゴシしたら生地がちょっと傷んでしまいました。この胴裏は絹だったのね。ちょっと薄くなりました。衿のところもポンポンしておきます。衣紋を抜くので、首の後ろは汚れませんが、衿の前側は顎などが触ることがあるので汚れます。

IMG_5538.jpg

液から引き上げて、本畳みにして脱水機に。わたしは仕事で使うので高速脱水機を持っていますが、普通の人は洗濯機の脱水機能のオシャレ着用モードでどうぞ。

IMG_5539.jpg
液はこんな感じ。30年分の汚れやら何やらが溶けている感じです。

IMG_5540.jpg

洗濯竿は着物を干すためにあるようなものですね。着物の後の液で割烹着も洗いました。この布は機から降ろした状態でクルクル巻きにして25年ほど放置されていたので、水を潜るのは初めてです。やっぱりたて方向に縮むと思われます。

干す時にはたて方向にしっかり引っぱります。生地を破かないように気をつけて伸ばします。やっぱちょっと縮んだかなぁ?

この後嵐になったので、家の中に取り込んでアイロンをこちらもたて方向に当てて、衣紋掛けにて乾燥の続きです。

油の汚れはほとんど分からなくなりましたが30年越しの汚れは・・・

IMG_5542.jpg
薄くなりました。もっと根性いれてポンポンしたらもっと落ちたと思われます。

さて、着物の方ですが、水を潜ってスッキリサッパリしましたが、生地がゴワゴワしてたて方向に3〜5センチほど縮んだ感じがします。
着物というより丹前みたいな風合いです。
たぶんアイロンの上手な人はきちっと生地を伸ばしてセットするのでしょうが、わたしはそれほどアイロンが上手じゃないので断念です。

さて、結論ですが・・・
やっぱり良い子のみなさんは家では洗わないほうがいい。

洗うならちょっと丈が長めの単衣。

ウールの着物がよく単衣で仕立てられていますが、これは自宅で丸洗いすることを考えて単衣になっているんだと思います。絹の紬もゴツめの生地の単衣があるけど、こちらもお手入れ重視で単衣仕立てなんでしょう。同じく木綿の着物は単衣で仕立てることが多いですが、季節云々というより、こちらも日常着として洗濯のことを考えて単衣仕立てになっているように思います。
洋服を作る時は生地をちゃんと水に通して縮むだけ縮めておいてから裁断縫製しますが、着物の場合は洗うことはいつしか考えなくなって、裁断の前に生地を縮めないのでしょう。(生地は長さで取引されるので引っ張ったままのほうが儲かる)

糸や布のことを考えると、ウールも絹も木綿も繊維が持つウエーブがあって、それが生地の風合いや繊維の特製を持つのですが、それを伸ばした状態で着用する、というのは大変に残念なことだと思います。
こんな風に「自宅お手入れ不可!」な作り方をさるようになったのも着物が日常から離れることに拍車を掛けたと思うと、着物のために殺された蚕の命は本当に哀れです。

さて、ちょっと縮んでしまった母の着物ですが・・・
きれいになったし、これ以上縮まないので気分良く着ようと思います。
お端折ほとんどないけどね。

油が爆発してもいいようにもっと丈の長い割烹着を作らなくっちゃ。

ランキングに参加しております。
いつも応援ありがとうございます。
にほんブログ村 料理ブログ ローフードへ
にほんブログ村
にほんブログ村 ファッションブログ ふだん着物(和服)へ
にほんブログ村

〜〜料理教室のご案内〜〜
4月13日(日)内容未定
4月8日(火)練り込みパイ生地でキッシュとタルト。
 
どちらのクラスも新規生徒さん絶賛募集中です。右下のメールフォームよりお問い合わせ下さい。
短期集中講座等ご希望はご相談ください。

関連記事

コメント

No title

思い切った実験と丁寧な説明、とても参考になりました。単衣の絹と袷の襦袢は洗ったことあるのですが、さすがに袷は自分では洗えませんでした。でも実験の結果を拝見して納得。袷は解いて洗っていたのですが、古いものは捨て置くより、洗って気持ちいいほうがいいなと思いました。ありがとございます。

Re: No title

> 紫苑さん
ご訪問&コメントありがとうございます。和裁の技術があったら洗い張りをしたんでしょうけど、袷を縫うなんて、考えるだけでも気が遠くなります。襦袢はわたしも洗います。
洗い張りは、生地を板に張り付けて乾燥させるので、伸ばすことができるて、ダラ干しとは違うんです。
それでも縮んでもまた同じ身丈に縫えるように腰の位置に縫い込みを作ったんだなぁ、と思います。
洗った着物はほんとに気持ちが良いです。

コメントの投稿