「なかったことにしたくない」

世の中なかったことにしたいことばっかり。原発事故なんかなかったことにしたいし、放射能もなかったことにしたいし、秘密保護法も集団的自衛権もそんなもんなかったことにしたい。
でも、現実はなかったことにはできないんだけれど。

これはたぶん日本ではじめて実の父親による性虐待について書かれた本。

なかったことにしたくない 実父から性虐待を受けた私の告白なかったことにしたくない 実父から性虐待を受けた私の告白
(2014/06/03)
東 小雪

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この本は薄い本だけど、いろんなことが詰まっている。どれもすごく重いテーマばかり。よくこれほどいろんな要素を詰め込んで1冊にまとめたものだと感心してしまうほど。

まず、小雪さんの家庭は幸せを絵に描いたような家庭。仲良し家族。地元の有名人。立派なお父さん。美しいお母さん、テレビで子役やモデルをするような、可愛い女の子。

実は性虐待については全体のちょっとだけ。大半は宝塚音楽学校の壮絶なしきたりと伝統のお話しと、薬物依存&自傷の話し、ご自身のセクシャリティーとセクシャルマイノリティーのお話し。

最初に家族の事が語られます。仲の良い家族が兼六園で写真を撮っている。女の子も笑っている。でもこのかわいい子は拒食症でガリガリ。お腹が空くのがどういうことかわからなかったらしい。
小学校二年生から不登校。意識障害や痙攣発作。難聴や視力の低下、視野狭窄など原因不明(ホントは親はわかってただろう)の不調の数々。

小学生の子供がお腹が空くってわからないって・・・

幼稚園から初潮まで続いた父親からの性虐待のことをこの人は記憶を封印して生きていた。あまりに辛い状況に陥ると解離することで自分を守るということがあるそうで、この人の場合もそうやってすっかり忘れていた虐待の記憶がもっと大人になってカウンセリングを受けることで引き出されます。
だけどそれはもう父親が死んだ後のこと。

この人はお父さん大好きだったのです。お父さんはとても良い人で、優しくて、仲良しで大好きだったのです。

お母さん、つまり、妻は夫が幼い娘に何をしてるか知っていた。同居していた祖母(母方らしい。つまり、お父さんはマスオさん)もたぶん知っていた。おばあちゃんとお母さんが台所で晩ご飯を作っている最中にとなりのお風呂場で娘と父親が風呂に入っていた。

初潮を迎えて、母親が「もうお父さんとお風呂に入るのはやめなさい」と言って虐待は終わった。つまり、娘が妊娠しちゃ困るからもう止めろ、ということを娘に対して言ってるわけだ。

まだ小さい時、母親に父親がやる恥ずかしいことを止めるように言ってくれ、と訴えたことがあったけれど、母親からは無視されてしまったという。

う〜、このお母さんはわたしの理解を越えているけれど、この夫婦の間に娘を差し出す合意があったとしか思えません。それにしても、性虐待というのはここまで子供の心を壊してしまうのだと戦慄します。

宝塚音楽学校のシキタリのお話しは有名だからわたしもだいたい知っているけれど、そうそう、女子校ってこういうノリあるよなぁ、すごいイヤだった。わたしが宝塚をもうひとつ好きになれないのは、このあまり意味のないシキタリや伝統が好き(結局、学生も団員もファンもシキタリで個性を破壊するシステムが好きなのだ)な人たちのやる芸に様式美以上のものを見出せないから。

それにしても無意味(としか思えない)で執拗なイジメの伝統。憧れと高い競争率で選別された優秀な人たちが集まっているので、自殺などはでないのかもしれません。

パートナーを得て、魂を再生させるプロセスは感動的で、最後に台北でプライドパレードに参加する記述は読んでいて涙が出てきます。

お母さんとはまだ和解できていないそうですが、いつの日かお母さんとも話し合える日が来るように、と祈ります。

この本は実父からの性虐待を受けた人の物語りだけれど、ウツ、薬物依存、自傷、摂食障害からの立ち直りの物語りでもあり、セクシャリティーについての大事な大事な話しでもあり、家族についての話しでもあります。

薬物依存状態のころ、ナニを食べたらいいのかわからなくて、ビーガンをやっていたという記述が出てきます。生理前になると猛烈にジャンクなものが食べたくなって冷蔵庫をあさって調味料をそのまま舐めたりもしていたそうです。

本当に1ページ1ページが血の滲むような体験とフラッシュバックで書かれているような本ですが、悩んでいる人も悩みのない人も、虐待の記憶がある人もない人にも、セクシャリティーに悩む人にもそうでない人にも力と勇気を与えてくれる1冊なのです。

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