たつけを作る。その4 布にも命が宿ってる。

たつけの普及をしている石徹白洋品店さんは、農民、それも山地民の労働着の発掘をしてくれて、その素晴らしさを普及しようとなさっています。

たつけの作り方でわからないことを教えてもらった時にも「おばあちゃんがこうやって作る」とか、「おばあちゃんたちはその辺は適当に処理していた」という、なんとも頼りないというか、そのままのお返事だったのですが、それは石徹白の人たちの知恵をそのままに伝えたいという気持ちの表れでもあります。

産業革命でイギリス人が蒸気機関を使って紡績する機械を作るまで、糸はすべて人の手で作られていたのだから、糸の集合体である布がどれほど貴重なものだったか知れません。
農家では家族の着物を準備するのは主婦の勤めで、1人1年に2枚は最低必要だったと考えたら、農民女性は夜なべ仕事に一年中糸を作って、冬の農閑期には織物に追われていたと思います。
それでもちょっとでも可愛く、きれいに、丈夫に、温かく、と工夫を凝らして作ったんだろうな、と思うと汚れた野良着でさえ愛おしいというものです。

着物を着るようになると、本当にこの布を大事に使って、布の命を全うさせてあげなくては、という気になるものです。晴れ着は3代にわたって受け継ぐし。日常着の浴衣はヨレてきたら寝間着にして、ボロけてきたら、子供の産着やおむつ、褌、雑巾、と使ったもので、糸から作ることを考えたら、そうやって布の命を全うさせるのは当然だと思います。

さて、たつけですが、ズボンは衣服の中でももっとも過酷な条件で使われます。稼動域が大きいし、泥はね、歩行による摩擦、ひざやお尻のスレ。

それをいかに動きやすく、貴重な布をたくさん使わずにできるかと工夫されたのが、石徹白のたつけなのでしょう。膝上あたりで1度くびれて、裾にかけては作り手の好みの太さに出来る、今でいうブーツカットなシルエットになっているところがとっても面白いし、作り方は大雑把で、作る人と布の都合によって仕上げるというところもとっても布コンシャスで、石徹白の人たちの知恵や布、労働に対する愛情と愛しさがあふれているように思います。

このような労働着はそれぞれの地方、それぞれの家庭でいろんな工夫があって、その地方の布と風土に適した方法が伝えられて来たのだろうけれど、今や農民の労働着など民俗博物館のような所に行ってもなかなか見られません。(織り道具は山のように置いてあるのは、各家庭にあった道具が不要になって放出されたのでしょう)

明治以降、日本人は着物から離れて行って、昭和30年代をさかいに女性たちも着物から離れて、今や着物を着るなんてコスプレの一種になってしまって、箪笥の中の着物達がどんどん放出されて中古着物市場であふれ返ってます。

たつけを教えてくれた森本さんは、カンボジアの内戦で廃れてしまったカンボジアの絹織物を織物経験者、養蚕経験者などを集めて、若い人たちへのハンドオーバーの手伝いをすることで、あの光り輝くカンボジアの絹織物を復興させた方ですが、日本の織物世界を支えていた着物を着る文化は“高度成長”という爆弾も地雷もない内戦ですっかり荒廃してしまったように思われます。

そんな中、たぶん奇跡的に残っていただろう石徹白の労働着の作り方をこうやってシェアしてくれている石徹白洋品店さんのお仕事ってとっても貴重だと思います。

野良着を現代にアレンジなどせず、石徹白洋品店さんも着物を着て日常を過ごし、野良着の機能美も熱くシェアして欲しいなぁと願うのです。

そこにはわたしたちが敗戦と高度成長で失ってしまった宝物がたくさん詰まってるんだろうな、と思うのです。

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ヤンキーテイストも日本固有の文化。

石徹白洋品店さんのサイトはこちらhttps://itoshiro.stores.jp/#!/

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コメント

たつけ、興味深し

たつけ、4回にわたって興味深く読みました♪
和裁はもちろん、洋裁も学校の家庭科程度。母にはいろいろリクエストして作ってもらったけれど、それが災いして自分は上達せずという縫い物歴のわたしですが、ちょうど家で履くズボンというかイージーパンツが作りたい、と思って、思ったままで数ヶ月経過中。
たつけ、すごい興味深いけれど、型紙ダウンロードしてもすぐには縫えないだろうというのに、ひるみました。ううむ。たつけワークショップbyぺんぎんさん@広島っていうのがあったら、すぐ行きます!

Re: たつけ、興味深し

>rantanaさん
イージーパンツの作り方としては、マチだらけなのでかなり面倒です。
そりゃお手軽といえば、ユニクロさんのリラコですけど、それじゃ面白くないんですよねえ。

DL型紙ももっと安きゃぁオススメするんですけれど、ちょっと高いし、良く分からないし、袴だから大きくスリットが入ってて、紐二本仕様ではきにくいしで、わたしがオススメして買ったはいいけど使えないじゃん、ってことになると困りますもの。

わたしがご指導してもいいけど、サイズ展開などはまだよくわかりません。それで良ければ来て下さってもいいですよ。

Re:Re: たつけ、興味深し

マチだらけ、なのですね。
布を切らずに活かす、ということは、ダーツ状態か、と拝見していました。
ああ、袴だから、本来は、前見頃と後ろ見頃が横で重なったりするのでしょうか、と袴の構造もよくわからず想像し。
ご指導いただくのもありですか?
一緒に習いたいという方がいたら、わたしにもお声掛け下さい。マンツーマンは申し訳ない気がするので。

Re: Re:Re: たつけ、興味深し

>rantanaさん
そうそう、元の型紙は両脇スリットで紐二本なんですが、わたしはゴムにしています。
ご指導、有料にさせていただきますが、ありですよ。他に習いたいという人がいても日程を合わせたりするのが大変だし、ミシンも一台なので、個人レッスンになると思います。
広島だとねぇ、そんなに人が集まらないですから・・・
詳しいことご希望なら、メールフォームからメール下さいませ。

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