ファストファッションの時代に糸を紡いで布を作る。1日掛かって服地の仕上げ。

先日織り上がって新しいママブーツが届くまで仕上げを伸ばしていた服地、今日やっと取りかかりました。

お風呂場で仕事をするので1日で終わらないとお風呂に入れません。スーパー銭湯やスポーツクラブに行けばいいんだけれど、やっぱり1日で仕上げたい。

というわけで、4mの服地。これだけの大物になったら結構大変です。

日本の織物は織り上がったままの状態を“生機(きばた)”と呼び、布の完成ではなく、ここから繊維によってそれぞれ違った仕上げをします。
(南アジアの織物は機から降ろした状態が神聖で、洗ったり布を切ったりすると穢れになるから、織り上がりの布を水に通すことはない。)

毛織物は縮絨(しゅくじゅう)という独特の加工をします。織り上がった布をちょっと縮めて毛織物独特の風合いを作ります。織り上がりはただ経と緯が直角に交差しているだけなので、グズグズなのです。これを固定するためにまずは石けんのお湯を掛けながら平らにした状態であしで踏むこと1時間ちょい。

グズグズを軽く固定したところで、衣装ケースにお湯を張って、その中で捩じれないように撹拌すること、やっぱり1時間。ここで布を縮めます。この作業で布の風合いの80%くらいが決まります。
ウールは中心に向かって縮むので、全体を満遍なく撹拌して耳がビロビロにならないように気をつけます。

この後筒に巻いてローリングすること、3時間くらい。

布の巾だし。
IMG_6434.jpg

ウールは中心に向かって縮むので、布の中心から左右に向かって掌で叩いて巾を出します。均一な巾に仕上がるように、かなり神経を使う苦手な作業。もちろん、織る時に布の巾(緯のゆとり)に織りはじめと最後の方で違いがでてもいけませんから、織物の作業で手抜きが出来るところってのはあんまりない。常に因果応報してしまうのは料理と違って厳しい世界です。

ロールにしたら、紐で縛って床に置いて板を載せてサーフィンするみたいにコロコロ転がします。ひっくり返ると大けがするので気をつけて。

ローリングをすることで余分な毛羽を中にいれ、プレスしたみたいにビシっと張りのある仕上がりになります。アイロンではこうはいきません。

何度も巻き直して、ローリングを繰りが返し、感触が変わってきたらそろそろ出来上がり。不思議なことに足のうらから布の感触が変わるのが分かるのです。なんでやろ?でもわかる。

最後はまたロールに巻いて立てかけて水を切って乾かします。お天気がよければホントに1日立てかけておけば生乾きになるんだけれど、明日は雨の予想・・・

水分をたくさん含んだままダラ干しにすると竿のところに力がかかってまた布がひずんでしまうので、なるべくロールの状態で乾いてほしいところですが、今回は無理かな。

なんとか暗くなる前に仕事が終わったのはお昼ご飯ブレイクをしないで、お昼は枝豆、夕方に柿1個というプチ断食状態で仕事に励んだからかもしれません。食べなくても良かったんだけど、心が慰めを求める感じです。

お風呂場を片付けている時に夫も戻ってきて、晩ご飯はそのままお好み焼きとなったのであります。いや〜、お好み焼きがあって良かったってつくづく思うのです。

マンガがたくさんあって、焼き上がりまで時間が掛かってもぜんぜん苦にならない。マンガを読みながらお好み焼き、最高なのです。いや〜、広島いいところです。

大層なタイトルを付けましたが、今朝Facebookを見ていると、FBお友達の陶芸家の方がステキな記事をシェアしてくださって、仕事しながらその言葉がずっと頭の中でリフレインしていました。

わたし訳だから細かいところは違っているかもしれないけれど、こんな感じ

あなたがアーティストからなにかを買った時、それは単なるモノ以上。
何百もの時間や失敗、それに実験。何年もの挫折と歓びの瞬間を買っている。
あなたは1つのモノを買っているのではない。
心のカケラ、たましいの一部分、誰かの人生の小さなピースを買ったのだ。



そう。ただのモノじゃない布を作ることが出来る、まさに何年にもわたる挫折、我慢と歓びの瞬間が布になっている。だからなんて美しいのだろう、と思うのです。

ドクドクと血の流れる音が聞こえそうな布、命の通った布があることを知ってほしい。今になって着物を着る人はそんな布に包まれたくて着物を着てる人も少なくないように思います。
機音が聞こえてきそうな手織の紬なんて買ったらもう舞い上がりそうになりますもんね。

やれやれ、明日は筋肉痛だわ。

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コメント

いいきじですねぇ

織りあがった作品のお写真とともにぺんぎんさんの制作への情熱と達成感が伝わってくる文章が素敵です。

アートワークを買うという事は、ご紹介いただいたように制作した作家の魂や人生の一部を共有してくれる行為であるんですが、加えてその作家の未来も共有してくれるんですよね。
作家のその後の生活を支えてくれるという事と同時に、「あなたの作った世界が好きだよ」「あなたの作る世界をもっと見たいよ」と作家が未来に作る作品についてもエールを送ってくれて、その後の制作をコレクターさんも一緒に伴走してくださるのです。
一緒に作ってくださっている、のです。(*^_^*)
売れるのもすっご~く嬉しいですが、おカネのエネルギー以上にその応援エネルギーをビンビン受け取りながら私も制作しようと思いまする。

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Re: いいきじですねぇ

> たこさん、
ありがとうございます〜。
ほんと、未来を共有していただくんですよね。
今まで買って頂くのは申し訳ないような気がしていたものですが、そんな風に思わないようになるまでずいぶん時間が掛かりました。買って頂かないと次が作れないですもんね。
それって在庫とか、お金とかじゃなくて、応援のエネルギーも必要ってことなんだなぁ。

今友達のアーティスト夫妻が埼玉でレジデンスしてるんですが、彼らが駆け出しでまだ電気代や家賃を滞納していた頃に作品を何点か買ったのが縁で友達付き合いが続いているんだけれど、二人ともかなり有名作家になって、ほんとにすごいのですが、そんな彼らにも応援のエネルギーを送れたんだなぁ、アーティスト育てたんだなぁ、という気がしてちょっとうきうき。

日本でフリーランスのアーティストで生活出来てる人ってほんとにすごいです。もう存在自体が芸術です!

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