「きもの草子」

きものの学者さんといえば、なんといっても鶴見和子先生。お家柄といい、お育ちといい、フルブライト留学生というゴージャスな感じといい、わたしにとってのセレブ中のセレブでございます。あまりに高嶺の花というか、現実感がなさすぎて、ご著書を読んで憧れるだけで自分が着物を着るということさえ考えもしませんでした。

着物を着るようになった今でも鶴見先生のご著書、「きもの自在」はやっぱりあこがれの世界。なんといってもお家柄といい、お育ちといい、頭の出来といい、子供の頃から日本舞踊で着物に親しんでいらした着物キャリアといい、自分と引き比べるなんてとんでもございません。

着物の学者といえばもうお一人。
法政大学総長、田中優子先生は江戸文化がご専門。田中先生の着物姿はわりときっちりしてらっしゃる。この本を読んでも補正をちゃんとすると書いておられる。

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ブラをせずに洋服を着るとどこかだらしない感じになるのと同じだとおっしゃって、特に和装ブラで胸を押さえるのは必須だと思っておられるようで、本の中で補正道具を忘れてきて腰紐の縫い目をほどいて胸に巻きつけてことなきを得た、なんてことを書かれている。

確かに田中先生の着物姿はカチッとしているのですが、ご本人は着物教室のようなところに通ったわけではなく、ごく自然に覚えたのだそうです。

おばあさまが横浜でお茶屋を経営しておられたというのだから貴族ご出身の鶴見先生とは違う庶民系。鶴見先生はどこに行くにも、いつでも着物だったそうですが、田中先生は普段の仕事は洋服、着物は講演やインタビュー、テレビ出演などの時だそうです。

この本は12ヶ月を俳句の季語をテーマにご自身の着物や帯について語っておられて、合間にコラムが挟まれていてこれが着物を着る人には面白い。

たとえば、着物を着るからアップにできるように、と髪を長くしていたのだけれど、ある時バッサリ切ってしまったら着物を着る機会も増えて、アップ時代よりも若く見えて良いことづくめだったそうな。
アップの時はいつも決まった美容師さんのところで結ってもらっていたので、髪結いに行けない時は着物が着られなかったけれど、ショートにしたら美容院に行かなくても着物が着れるようになったのだそうです。

う〜ん、なるほど。それはいえてる

着物の手入れについては、衿と袖口をベンジンで拭くことと、畳む時に汚れがないかちゃんとチェックすることが肝心だと書いておられる。また、衿にファンデをつけてしまわないように、乗り物に乗ったら手ぬぐいで衿をカバーしてうたた寝しても着物を汚さないようにするとか。

着物の紹介も楽しいのですが、いいなぁ〜と思ったのは、十日市紬の花織。

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いいなぁ〜、こんな着物欲しいわぁ、ってほんとにどんだけ織りの着物好きやねん!

本の表紙になってりる輝くような黄色の着物はもともと黄色の色無地だったそうで、田中先生はお友達の結婚式やらなにやら、よくお召しになったそうですが、ある時似合わなくなってきたので蝶の柄を染めたそうです。これが派手になってきたら、もうちょっと濃い色に染めかえて、最後は蝶と同じ色の色無地にするとか。

本の冒頭で

わたしは着物をとっかえひっかえ買っては捨てる商品としてではなく、いつの間にか一緒に暮らす生き物のごとく思うようになった。であるから私がこの『きもの草子』という本に込めた想いは、「いい着物をたくさん買って贅沢しましょう」でもなければ、「私はこんないい着物を持っています。素敵でしょう」でもない。むしろ着物を「布」という基本に戻して、その生命を味わってみませんか、という想いである。



と書かれている。糸を紡いで布を織っているわたしにとって、まさに布は一緒に暮らす生き物だ。布ととことん付き合うには着物のかたちが一番いい。着物を着るのが一番いいというのは、着物が着れずに20年以上織物をやっていたわたしの心からの結論です。

布を味わうこととファッションがバラバラにされてしまったけれど、着物を着れば簡単なことだったのだなぁ、と思うのです。

鶴見先生の本も布への愛が溢れているし、美しい布で身を包む喜びにも溢れている。田中先生のご本も布愛に溢れていて、そうそう、布っていいよねぇ、かわいいよねぇ、とニマニマするのでした。

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