着物の底力「あとかたの街」

着物は細長い生地を長方形のパーツに切り分けて一着の服に仕立てる。裏地をつけたりするけれど、それも長方形の組み合わせで、不要な部分は縫いこんで布は長方形のまま使う。
こんな服の作り方はものすごく珍しい。私が知る限り、日本の反物のような幅で布を織る地域でも服に仕立てるときは不要な部分(襟ぐりや裾の丸みなど)は断ち落としてしまう。またはトルコパンツのように布を三角に切ったりもする。(日本の袴は布を三角に断つし、足袋も布をカーブに切るから日本の服の全てが長方形の組み合わせというわけではない)

解いて繋げばまた元の反物に戻るように作るのは、布を資産として、いろんなものに作り変えられる保険のような使い方だなぁ、と思う。

「あとかたの街」
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おざわゆきさんがお母様の戦争体験を描いたまんが。
戦争中に起こった東南海地震の被害や名古屋の空襲のお話。2巻まで読んで名古屋の軍需工場が空爆されて市民生活がきびしくなってきたところ。

この本の中で主人公が高校に進学するとき、お母さんが袋帯を解いて帯芯で通学鞄を縫う話や、岐阜に一人で疎開する妹のために主人公とその姉が二人で何か服を新しく作ってあげようと母のタンスを開けるけどどの引き出しも空になっていて、あの着物は布団に、あれは何に、と着物がいろんな必需品に姿を変えてしまって妹のために縫い直す着物が残ってない、という悲しいエピソードが出てくる。

着物ってほんとうに財産だったんだなぁ。着物の底力は困窮したときにこそ発揮されたんだなぁ。それにしても、戦争は誰も幸せにしない。庶民は苦しいばっかりだ。娘達がお姫様ごっこをしたお母さんのきれいな着物が布団になっちゃうなんて悲しすぎるじゃないか。

ともあれ、解けば長方形の組み合わせになる着物だからこそできる技で、今のわたしたちの生活の中でタンスや押入れにぎゅーぎゅーになってる洋服たちは逆立ちしても布団皮にはなれない。
着物だったら子供の洋服にもなるし、別のサイズの着物に縫い直すことも、いろんなことが可能です。

基本長方形の組み合わせなんだけど、道行やコートという着物の上着で衿が四角く開いたものがあります。これは切り落としてしまうので長方形の組み合わせに戻らない。

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葡萄色に染めてあるのは羽織の裏で、これは着物と一緒で肩開きに横方向に切れ込みが入ってるだけだけど、道行衿は切り落としてしまう。羽織から道行は作れるけれど、道行は羽織にならないのは切り落としてしまうから。贅沢な作りだから羽織や道中着よりも高級な位置付けなのかなぁ、母の着物にも羽織よりも道行が多くてちょっと困っている。

羽織ならば前が開いてるので帯や懐がポケットとして機能するけれど、道行は帯にちょっと切符を挟んだり、ってことができない。つまらない。

道行の裏も使い道限られるよなぁ、と思ってたらふと閃いた。

ズボンの型紙に似てるやんか!

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というわけで、ステテコになりましたとさ!

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腰回りは結構タイトだけどワタリ(おへそから真っ直ぐ降りてお股を通ってお尻を通り過ぎてウエストまでの長さ)がたっぷりあるので大丈夫!

パジャマのパンツにもナイスだ。
ポケット付けたりタックをとったりなんて余分なことをしなければすぐ縫い上がる。
裏地まで絹。羽織の裏となったらちりめんや繻子、錦紗の紋織り。なんとまぁ贅沢な作りだろう。シャネルやアルマーニのスーツやコートの裏地が絹の繻子なんてことはオートクチュールくらいじゃなかろうか?それを、絹の裏地をつけて庶民が誂えて着ていたのだから、なんと豊かな衣生活だったんだろう。
やっぱり着物は着るものだわ!

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