「親という名の暴力」と安富歩先生の授業。

すごい本を読んだ。
元々は、安冨歩さんの授業に著者の方がゲストでお話しなさったビデオを見たのがきっかけです。
↓↓↓↓
2014/01/08 【文化】お前は人間の屑─「親という名の暴力」著者と虐待の連鎖を考える ~東京大学安冨歩教授の授業

一時間ちょっとのビデオです。本を読んでいなくてもその内容がよくわかります。会員でなくても観れるので是非!

ビデオの冒頭で安富さんがご紹介なさいますが、境界性人格障害になる過程と回復の道のりを詳細に本人が書いた稀有な書。普通そんなに克明の覚えていないし、覚えていたとしても文章にするだけの能力がないんだそうで、奇跡のようなレポートを日本語で読めるわけです。

ビデオを観たのは公開された当初なので去年の冬ですが、ふと思い出して検索してみたら図書館に蔵書があった。すごい分厚い本で、これは個展の時に読むしかない、と借りたのでした。

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この人はビデオのタイトル通りの言葉を父から浴びせられ、母からは四六時中「あぁ、じれったい、いまいましい、なんたらかんたら」という呪文を浴びせられる。

うん、わたしも「⚪️子、だいたいあんたは」という呪文を母からよく浴びせられました。これは夫もよく耳にするらしいので、ほんとにしょっちゅう言うのでしょう。それにしても婿さんの前でも言うか?

著者はご両親の断片的な子供時代の話しから、ご両親二人ともがとても親によって傷つけられて、その傷が癒えないどころか、なかったことにしていることが問題で、子供に八つ当たりせずにきちんとおばあちゃんを恨んでよ!と何度も親に訴えるのですが、これは未だに認めないのだそうです。

お母さんもすごい人で、(育児書と同じだけのミルクを子供が飲まないからって、胃にチューブを入れて育児書通りの時間きちり、分量キッチリミルクを飲ませて育てた)若いころ家事は完璧主義。流し台の油はねひとつ、水ひとつきっかりふきあげないと気が済まない人だったらしいが、そんな完璧家事など続くわけもなく、著者が中学校くらいから一切料理をしなくなり、ご飯だけは炊いてあとはぜーんぶ市販のお惣菜で。お弁当も作らず子供(著者)にお金を渡すだけ、だったそうで、他にも大変な毒親っぷりです。
その後、この女性はボロボロに壊れていくのですが、世間体は保つことにはたけているので外部からはうかがい知れません。

この本には親との問題で子供の精神が破壊される、というテーマの他に、精神安定剤の長期服用による問題もテーマとなっています。

精神安定剤、ここではベンゾジアゼピン系薬剤を略してBZ系と書かれています。
ウキペディアに薬品名をまとめたページがある。→https://ja.wikipedia.org/wiki/ベンゾジアゼピンの一覧

睡眠薬、抗不安剤、筋肉弛緩剤など、わりと簡単に処方されるおなじみの薬。これが筋肉を壊死させる、人格を低下させる、などの副作用が強く、医師である著者でさえその副反応については無知で、これらの薬を処方する精神科の医師たちも薬の副反応や長期服用による問題に意識がある人もほぼいらっしゃらない。(最近では肩こりの薬としても処方されるそうで、油断できません。)
わたしは医者の子なので、家にこの手の薬がたくさんあって、「寝つきが悪い」とか、「明日は早いから早く寝る」などどうでもいい理由で勝手に飲んでました。恐ろしいことでした。

そういえば、睡眠薬を常用している人は若干「人格の低下」がみられるように思いますが、それが薬のせいだとしたら、なと人生の豊かさを阻害することでしょう。

本の最後の章で著者は自力で薬物からの離脱をするけれど、強い意志がなければとてもじゃないけど離脱など難しい。麻薬や覚せい剤中毒の離脱反応と同じ”自律神経の嵐”が起こるのだそうです。

著者が奇跡的に稀有な人だな、と思うのは、30年にわたる病気とそれからの回復を医師の仕事を続けながら成し遂げているということ。

著者がうつ病を発したのは17歳のとき、同級生に「あなたはみんなから嫌われているとビクビクしているけど、そんなことないよ、普通だよ」と言われたのがきっかけになっている。

安富さんの解説では、これが「治癒への道を歩み始めた」となるのだが、乳児のころから受け続けた親からの圧力の重さがその後30年の苦しみを生み出したっていうことです。

わたしは結局人の親にはならなかったけれど、自分が親になったら親から受けた暴力を子供に移してしまうだろうな、という自覚はあり、35歳くらいのころ、母に「あんたの育て方が酷いから、子供は産まない」などと言ったこともありました。お母さん、切れたなぁ・・・


わたしは子供の立場しかわからないので、親は等身大の欠点もたくさんあるただの人間だった、ということがわかった時に「まぁ、しょうがない」と思うことで親の呪縛から逃れたように思います。もちろん、距離的に遠く離れたことや夫のサポートは大きかったです。

それにしても親って、呪縛から逃れたと思ったら相手は年寄りになって世話がやけるようになって、カルマというのはこういうことをいうのでしょう。

著者は最後に「薬剤をやめたおかげで新しい自分を生み出すことが出来た」と書いてらっしゃる。そして、「食事はすべて生の材料から自分で作る」とも書いておられる。

薬剤の影響を受けず、自炊をするということは、精神の健康と自立を保つために必須なことだとわかった本でもありました。

自傷、摂食障がい、抑鬱傾向に自覚のある人、お身内にそんな方を抱えて悩んでいるご家族の方、痛ましい記録ですが読んでみてください。治癒へのきっかけになると思います。
境界性人格障害はBZ系薬剤の医原病ではないか、という疑いも著者はチラっと書いています。

ビデオを見てから本を読んで、またあらためてビデオを見ると著者の人となり、未だに人と話す時には緊張する心の震えなどもまるで自分の痛みのように感じられるのです。

ビデオで最後にダウン症の弟、洋ちゃんが発言するのですが、洋ちゃんへの受け答えをする著者の優しい眼差しとやわらかい声が、この人の魂の高潔さを表しているようです。

本当にすごい本、よくぞ死なずにこれだけのものを書いてくださいました。
そして、安富先生が授業でご紹介下さらなかったらまず出会うこともない本でした。
ありがとうございました。


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コメント

No title

動画を紹介してくださり、ありがとうございます。
これ見て、いろいろ考えさせられました。
自分と親との関係を当たり前のように受け入れ生きてきましたが、
確かに家族以外の人間関係に影響を与えているかも、と思いました。
影響されっぱなしでなく、どう補っていくかな~。。。。
本も読んでみようと思います。

Re: No title

> いちごさん
コメントありがとうございます。
親をきちんと恨むというのはとても難しいですが、親が生きているうちになんとか恨んで許すことができたらいいな、と思います。

小石川さんは最近新書も出されたようです。新書のほうが読みやすいかもしれません。

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