“Shelter”の出会い。必要な人のところに布が自分で出かけていく。

去年、東京での個展準備のために制作を熱心にしている時期、安保法案の反対運動が9月なのに冷たい雨の中延々と行われて、若い人を中心に日本中のリベラルを巻き込んで大きなうねりを起こしていた。

結局、雨の中の反対の声など権力で蹴散らすように強行採決して通してしまった。

なんていう世の中。いや、これまでもこんな世の中で暮らしていたけれど、身に降りかかる問題が起きなかったから気がつかなかっただけで、5年前の震災の後国家の本音が牙を向くというか、オブラートなんかかなぐり捨てて現実に襲いかかって来た。

雨の中のプロテストを手仕事をしながら見ていて思った。
わたしの服はこんな人たちの身体を包んで、権力の暴力から身体を守るものだ。雨も風も冷たい空気もシェルターのような服に身を包んでこれからのむき出しの暴力の時代に寄り添う服にするんだ。それがわたしの仕事だ!

てな事を考えて、大事に大事に持っていた服地から“Shelter”という服を作った。
http://penguinkitchen.blog54.fc2.com/blog-entry-2376.html

そうやって作ったうちの一枚。
fc2blog_201611181555145f8.jpg

着物を着るようになったので、着物の上にも着れるシェルターは襟ぐりがいい加減な作りで、アームホールがたっぷりしていて、袖口も広めで、右前、左前、両方使えるようなそんな服。

羽織ってみればわかるけど、驚くほど軽いし、ジャケットが発熱してるみたいに暖かい。
ウールを縮めて作ったものは、風も水も通さないので、雨でも風でも大丈夫。しかも、身体の余分な湿気や熱は発散するので、暑くて蒸れる、汗で冷えるということがない。

今回の展で、 この“Shelter”を気に入ってくださった方がいた。如何せん、お値段が高いので、お金の工面をする必要があって、お支払いは最終日となった。

「右前、左前にできるというのが決定打になりました」とおっしゃる。

なんと、その方は得度を受けた僧侶で、法衣はお持ちだけれど法衣用の防寒着をお持ち出なかったので丁度いい!と思われたのだそうです。

なんか、その話を聞いてわたしは涙が出て来た。

服地であれば公募展にも入選するし、商品として完成されている。仕立てに出さなくてもショール2枚にして使う事もできるし、布フェチの人はただ布としてコレクションしてもいい。
だけど、ハサミを入れて仕立ててしまえばサイズやデザインの気にいる人のところにしか行かない。商品として売り先が限られてしまう。
ああ、こうやって布がお客さんを連れてくる。布が自分の主人を自分で決めて展覧会に連れてくる。

ご購入頂いたシェルターは本当にこの方に必要なもので、この方を風や寒さから守り、雨を防いでこの方の仕事をサポートしてくれるのだと思ったのでした。

こんな風に布が人を呼んでくることって滅多にないので、本当に驚いたし、そんなご縁を作れたことで感謝でいっぱいなのです。

織物の神様、ありがとう。
20年でも30年でも織物続けます。

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コメント

感動

感動!しました!
安保法案反対運動最中に決心して作られた、とはそういうことだったのですね。
「震災の後国家の本音がオブラートなんかかなぐり捨てて現実に襲いかかって来た。」「権力の暴力から身を守り、剥き出しの暴力の時代に寄り添うシェルターのような服にするんだ!それがが私の仕事だ」
それがあんなにも愛の溢れる驚く程優しいあの服へと昇華したんですね。
本当に感動しました。
私は糸のこと染めのこと織物のこと全てにおいてど素人で何も分かりませんが、それでもペンギンさんの布の気持ちよさははっきりとわかりました。
そして「シェルター」の優しさも。

素晴らしい個展、観せて頂き触れさせて頂きありがとうございました。
ペンギンさんと連れ銭湯させてもらう日が来ようとはよもや思いもしませんでしたが馴染みのようにチャッチャッとひとっ風呂される様子はさすが、肩肘はらずとても気持ち良かったです。

それから、北海道から空輸の羊はとーっても美味しかったですよ!!
塩茹でのままでも食べてみたい。
美味しくて、こんどいつか取り寄せてみなあかんな!と話してました。

色々何かと、とても刺激を受けて楽しかったです。
ありがとうございました。

背高いのっぽTom

No title

「布が人を連れてくる」「わたしの服はこんな人たちの身体を包んで、権力の暴力から身体を守るものだ。雨も風も冷たい空気もシェルターのような服に身を包んでこれからのむき出しの暴力の時代に寄り添う服にするんだ。それがわたしの仕事だ!」
久々に、感動的な言葉に出会いました。有難うございます!
では!~~ε=ε=ε=ε=┏( 菊・_・)┛

Re: 感動

>  Tomさん
ご丁寧なコメント、ありがとうございます。
本来着るものってそう言うものだったと思うんですよ。ガンジーの糸紡ぎと非暴力非服従の運動は切っても切れない関係がありますし。
誰でも自分の活動の場からちゃんと意思表示できると思うんですよ。世の中を変えるためにみんな自分の与えられた場所で自分の仕事できちんと意思を持てば社会なんか簡単に変わると思います。

あの銭湯、重油臭くないし、よかったです。炭酸風呂とか、本当、近所だったら通っちゃいます。

料理教室是非実現させましょう〜。食べ歩きより自炊の方が楽しいですもん。
またコメントくださいね〜。

Re: No title

> 菊さま〜。
ありがとうございます〜。

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