義母の文学賞

義母がなにやら文学賞をもらったからどうのこうの、という話題が時々夫と家族の間で持ち上がっていた。

町内会で賞をもらった程度に考えていたのだけれど、なんときちんと賞金も出るちゃんとした賞だったのだ。今日その作品集が送られて来て、義母の句を読んだらどうしようもなく悲しくなってしまった。

延命をことわる夫や冴え返る

桜苗一本求め帰りけり

春夕べコトンと落ちし脈の波

春眠よ夫を誘ふないざなうな

夫の手の生身に触るる朧かな

三寒や子に喉仏拾はせて

六月や叙勲の襟のネクタイピン


義父は亡くなる一週間前に伊豆まで河津桜を見に行って写真をたくさん撮って、帰りに次男の家に寄り家族写真を撮って帰って来た。その時にそういえば苗を買ったという話をしていたように思う。わたしたち夫婦はバンコクにいて、3月の帰国までにまさか義父が亡くなるとは考えていなかった。

最後には夫もなんとか枕辺に間に合ったのだが、もうその時には話は出来なかった。わたしも帰国の準備をしていたら、出発の日の夕方に夫から亡くなったとメールが入った。

お骨を拾う時に係りの人が「これが喉仏です、こうやって置くと仏様のように見えます」などと説明してくれた。

国家公務員だった義父は叙勲を受けた。「死んでからもらってもしょうがない」と義母は言ったが、「お父さんは喜ぶから断ることもないよ」とみなで説得し、叙勲を受けたのがそういえば6月で雨の日だった。着物の襟に義父のタイピンをつけていったのだろうか?

投稿された30の句はどれも秀逸だった。
ここでご紹介したものは義父の最後を詠んだ句だけれど、日常を詠んだ句も多くある。いつも小さな帳面を持っていて、何か思いついたら書き込んでいたし、「ちょっと教えて」としょっちゅう電話を掛けてくる。

送られて来た句を読んで鼻をチンチンかんでいたら、「なにもあんたがメソメソする必要ないじゃない」と夫に突っ込まれたけれど、義父を失った悲しみをこうやって句にしていたのだ、と思うとどうにも切なくなってしまいました。

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