広島の人の福島原発事故への感想。

バンコクからの帰り、最寄りのJRの駅からタクシーに乗った。

70代ではないか、と思われる個人タクシーの運転手さん(つまり社長さんってことかしら?)黙って運転していたのに、ある建築中の家の前を通る時に「ええ家が建ちますよ、あんなことでもせんと金が使えんのですかねぇ?」と話し始める。

道路脇の立派な民家、そういえば、別に建て替える必要のないような立派な家をすっかり壊していたっけ。今時珍しく木材を一本ずつ組上げての木造家屋を建築中です。

運転手さんの話は「電化にせんといかんのでしょうか?」といきなり電気の話。怪しい雲行きだなあ、と思ってたら案の定原発の話になる。

運転手さんの話では、原発はすごく安いのだそうな。福島で事故があったけど、放射能なんて、広島の原爆の時は誰もそんなこと言わなかったのに、今の大騒ぎはおかしい、と。

実は、この手の話はとても良く聞く。広島は原爆にやられたけれど、水も飲んだし食べるものだって何でも食べた。ワシらは避難もせずにそのまま住んでいるのに、どうして福島事故では避難だの、出荷停止だのと大騒ぎするのか?と。

そして、「どうして原発が悪いのかよくわからない」「原発がないと電気代が高くなってしまう」と。

広島で爆発したウランは800gで、原子力発電所で燃やされるウランは1年間に約1トン。それが4基におまけに「使用済み核燃料」ってのがあって、いったいどれだけの放射能が出てるか良くわからないけれど、計算によると広島原爆の800倍とか1000倍とか言われてるのです、と説明するが、どうもよく伝わらない。

運転手さんは使用済み核燃料の処理方法がない、というのはご存知のようだけれど、原子力発電所を運転し続けたらその処理方法のないものがドンドン生み出されてしまうことも良くわかってないみたいだ。

使用済み核燃料だってずーっと冷やしてないと崩壊熱で溶けちゃうし、放射能だって出している。ずーっと冷やし続けないといけない核燃料やら、処理方法のないものやらを含めても原子力は安いと思っているらしい。

そして、「ワシらの時にはそんなこと言わなかったのに、なんで福島では野菜や牛肉で大騒ぎしてるんだ、ワシらはずーっとそこに住んでるんじゃがのぅ」と非常に不快に思っている。

ともあれ、タクシーの運転手さん相手に激しいバトルを繰り広げる前に家に着いてちょっと安心したのでありました。家に着いてから夫が「あの運転手さん、墓穴掘るんだから・・・」とぼやく。

これは多分広島の人の普通の感覚なんだろう。良く似た話を色んなところで聞くのです。
なんだかなぁ~、普通の人との埋められない溝を感じるのです。どうしたらいいんだろう?

ミッドナイトフライトを終えて、家に辿り着き、機内食で出されたパンとスプラウトとチーズで軽く昼食にして昼寝したのでした。

IMG_2441.jpg

スプラウトさんたち、冷蔵庫で良い子にしてくれてありがとう。おかげで買い物に行かずにお昼ご飯が済みました。

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コメント

No title

いま元気にすごしておられる年配の方々は原爆投下から終戦後のドサクサをかいくぐって生き抜いた人たちばかりですから、たしかに普通の人の感覚ではないかも・・・。

敗戦の年、秋の台風が海へ持ち去るまで市内の川には牛のように膨らんだ腐乱死体が潮の満ち引きとともに行き来していたとも聞いています。『はだしのゲン』の世界をそのまま見聞きしてきたわけで、幼少のころの風景が強烈過ぎるのかもしれません。

私も親戚縁者に被爆者はいますし(夫は被爆二世です)、学校でも被爆体験を聞いて育ちました。
原爆に対する差別もあったと聞いています。そういうこともあってか、福島の人たちへの偏見、差別的行為をニュースで聞くとほんとに腹が立ちます。

でもって、最近また腹が立ったのはこの記事。
http://ex-skf-jp.blogspot.com/search/label/%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%B2%E3%83%AB

ご存知のことと思いつつリンク貼らせていただきました。

No title

 ぺんぎんさん、お帰りなさい。

 このタクシー運転手の方の反応、
 長崎育ちの母や、その友人(被爆者手帳所有)にそっくりです。

 どうも自分たちが、身体の外から中から、どうしようもなくたっぷりと浴びせられてしまったものを
 「ちょっと浴びたくらいで、今すぐ死ぬみたいに騒いで!!」
 私たちはもっと浴びたんだ、じゃあその浴びた私たちは何なんだといった感じの事を電話で言い合って怒っていました。

 やはり私が後から、かくかくしかじかでと説明しても、
 一番の被害者は自分たちであるという考えは、変わらないようでした。

 今回の震災は、放射能に限らず、それぞれの人が、今までの人生で解決していなかった問題を、一気に表面化したように思えます。
 母達は子供の頃の「被爆」問題をずっと抱えたまま、自分の中で解決できずにいたのでしょう。
 母は直接被爆していませんが、長崎出身というだけで、被爆差別はあったそうです。
 母の友人は手帳も持っていますから、もっと大変な目にあってきたのでしょう。

 お互い放射能の被害者として、協力し合えるようになるには、各自が抱える問題を乗り越えないと難しそうですね。

Re: No title

> なむそむさん
原爆の強烈さを考えたら、原発事故は「まだ誰も死んでない」ってことになるのかもしれません。
広島の子が「平和教育」で毎年夏になるのが憂鬱なほど色々聞かされたというのも最近知ったことです。(年代によってかなり差があるようですが)。
それだけに内部被曝ってのは恐ろしいなぁ、原発事故による汚染というのは、目に見えないだけに残酷なようにも思えます。

シュピーゲルがそんなインタビューしたのですね。旅行中だったので、情報のアップデートが出来てません。恥さらしもいいところですがこれが日本のイシュタブリッシュメントの姿なのですね。

>ちくたくさん
ただいま~。
ああ、ほんと、そっくりです。まったくその通りの言葉を聞いたことがあります。

>今回の震災は、放射能に限らず、それぞれの人が、今までの人生で解決していなかった問題を、一気に表面化したように思えます。

ふーむ、なるほど。深い分析です。ならば「放射能怖い」と大騒ぎしているわたしも自分の人生で解決してない問題を今回の原発事故で大騒ぎしてるというわけですね。
自分の中に抱える不条理や差別の問題が地割れを起こしてモクモクと水蒸気を上げているのですね。
もうこのさいだから宿便と一緒に出してしまおう。



No title

ぺんぎんさん、こんばんわ。
戦後生き抜いて来て、いまもお元気な方はこんな感覚の方が多い、わたしもそう思います。この年代の方はテレビや新聞の情報しか知らないという方がほとんどなので、原爆の放射能の影響と原発の放射能の影響の差などは意識して知ろうとしないと、わからないですよね。
温度差ありますよね。。。

わたしの母は兄弟6人中、4人が原爆で亡くなりました。母は祖母と一緒に翌日に広島入りしたので被爆しています。わたしは二世です。
幸い母は元気なのですが、祖母はいくつもガンになり亡くなりました。今思うと、これは家系ではなく、被爆の影響が大きいと思ってます。
母はこんな状況で育っているにもかかわらず、情報がないため、タクシーの運転手さんほどではないものの、現実味がないようです。

広島の戦後を生きて来た方は、惨状を目の当たりにしてきたはずなのに。。なぜなんでしょうね。

わたしは、幼い子を持つまわりの友人との温度差に戸惑います。
わたしは、過剰反応をしているのか、、、、
そんな時、ぺんぎんさんのHPに出会って、同じように(もっと深く掘り下げて)考えてらっしゃる方がいてほっとしています。



Re: No title

> JuJuさん
原爆の被害は本当に強烈ですから、あれより悲惨というのは想像が出来なくてもしょうがないと思います。

爆発の熱や爆風がなくても、放射能はうーんと濃いのだから、想像力を働かせないとなにも見えてこないのでしょうね。
チェルノブイリの時に鼻血の報告はなかったみたいですが、今回の事故では、関東でもかなり鼻血の報告があるようで、これが小出先生などは「わからない」とおっしゃるのですが、これが急性被曝の症状だとしたら、本当にチェルノブイリの何倍もひどいことが進行していると考えなければいけないのかもしれません。

入市被曝でさえあれだけの後遺症が出たのだから、やっぱり恐ろしいです。
人のことなどどうでもいいので、ご自分とご自分のご家族だけ守って下さい。
わたしも話しが分からないような人にはわざわざ言いません。それが血縁でも、揉めるだけですから。
人はそれぞれ独自の世界で納得して生きているのです。
残念ですが、仕方ない。そんなもんだと思います。

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